--- layout: old_post title: ヴァネヴァー・ブッシュ「われわれが思考するごとく(As We May Think)」を読んだ permalink: /tatsuya/show/97-as-we-may-think ---
以前聞いて探してたこの本 "思想としてのパソコン" (西垣 通, A.M. チューリング, ダグラス・C. エンゲルバート, ヴァネヴァー ブッシュ...) を500円で発見(Amazone)=> 即購入。まずヴァネヴァー・ブッシュの「われわれが思考するごとく(As We May Think)」を読んだ。
まず "現在記録される知識の総量が急速に増えているのに、人間がそれを使いこなす能力はあまり伸びていない" というのが大きな問題定義、その問題を解決するための案が"メメックス" というシステム、この時代 (1945年) はまだコンピュータ草創期という時代でマイクロ・フィルムによるハイパーメディアの実装(?)案が話のメインとなっている。読んでいて驚いたのが、かなり部分で今のHTMLによるWebと共通する部分があること(そもそもテッド・ネルソン(5章で出てくる)がこの論文を読んでハイパーテキストを考えたのだから、似ていて当たり前という話もある。それにしてもマイクロ・フィルムというアナログメディアで考えたってのが凄い)
ただ1点実現してない & 必要だと思ったのが「第三者(読者)によるリンク付け」の仕組み。
あるユーザがトルコの短弓が英国の長弓より十字軍の戦闘においてなぜ圧倒的に優れていたのか、という理由について研究しているとする。メメックスの中には関連のありそうな書籍や論文が何十件も入っている。ユーザはまず百科事典を全般に渉猟し、概略を述べた興味深い事項を見つけて、それを映し出しておく。続いて歴史書の中から関連事項を洗い出し、両者を結合する(リンクを貼る)
このようにして、たくさんの事項を連結した検索経路を形成していく
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ユーザは複製装置を起動させ、全検索経路を写真に撮り、友人自身のメメックスへ挿入するようにそれを手渡す。
関連するサイト間には自由にリンクを貼ることができ、友人と共有することができる。
これは良いね〜!ヤバイ。
ヴァネヴァー・ブッシュが危惧した時代よりも級数的に情報の総量は増えているけど、情報の参照といえばGoogleの検索力だけが(ほぼ)たよりなのが現状だと思う(delicious、digg、はてな・・・Web2.0勢が盛り上がってきているけど少し置いといて)GoogleのPageLankアルゴリズムは目的の情報が明確に決まっているときは凄い力を発揮する、でも ”何か良いXXXXは無いかな?” といった目的の無い(目的の曖昧な)検索には力を発揮できない。また有名な情報(サイト)が生まれればそこへリンクが集中し、結果ランクの高い層・低い層がバランス悪く分離してしまう問題もある。
情報は分散・多様化が重要だと思う(例えばはてなブックマークのこんな話とか)TVで言えば視聴率30%の人気番組よりは、視聴率5%でもYouTubeへ熱狂的にアップロードされるロングテールな番組に頑張って欲しいし(個人的にも好き)、そもそも発言権の弱い者が世界中へ発言できる機会を作るのがインターネットの使命の一つだと思う。サイト間のリンクが多様化すれば良質なロングテールを育てる力になるんじゃないだろうか?
今のWeb環境でも、GreesMonkey等を使えば実現はそう難しい話ではないと思う。またはトラックバックによるリンクやSBS(del.icio.usやはてなブックマーク)等が近い答えかも知れない。まだまだ判らないけど、何にしても「第三者(読者)によるリンク付け・共有」の仕組みはあって然るべきだと思う。
どうにかして実装してみたいな〜、やっぱUIはGreesMonkeyだろうか?